『一路』上下 (中公文庫 浅田次郎)
京都から東京まで徒歩で行くとしたら、あなたはどちらを選びますか?
1、東海道 2、中仙道
現代ならば、もちろん 1東海道だろう。
しかし、江戸時代なら、2中仙道が正解だ。
木曽谷、十曲峠、鳥居峠、塩尻峠、碓氷峠、
名だたる山岳地帯を越えていく中山道。
行くなら今でしょう。行くなら東海道でしょう。
と思うのだが、正解は中山道である。
東海道は53宿。中山道は69宿。
旅程的にも東海道有利であるのに、中仙道を選ぶ。
その理由は東海道の「川渡し」である。
東海道にとって、川は最大の障害であったのだ。
いったん「川止め」が起こると、いつ回復するかわからない。
旅人は何日も足止めをくらう。
乏しい旅費が底をつき路頭に迷う。
そんな思いをするのなら、
いっそ険しくても確実な中仙道、となるのである。
長い前振りであったが、
中仙道を参勤交代する物語が、この『一路』である。
浅田次郎にしては「軽すぎない?」という語り口であるが、
なかなかどうしてストーリーに吸い込まれるのである。
初の行列差配役を勤める供頭・小野寺一路の活躍。
うつけと呼ばれるお殿様の見事な変身。
脇役をかためる武士や奴や馬までもが、それぞれのキャラを発揮する。
理屈抜きに楽しめるエンタメ時代小説のお手本である。
<shiozyのお勧め度☆☆☆☆>
『一路』上下 単行本で税込み1,680円×2=3,360円。
高いと思う人は、図書館にいくか、文庫を読むがいいぞ。
「川止め」で待たされるのはイヤだと思うなら、中仙道を行くべし。
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知りませんでした。これ絶対読みます。
浅田にしては軽い文体ですが、地図を辿りながらの中山道は中々のトリップ体験です。
文庫でお楽しみください。