<ゆずれない想い>

  • 2010.11.04 Thursday
  • 13:18


次の日曜日(7日)は過密スケジュールである。

 

朝から団地掃除をこなし、ミヤカグイベントに馳せ参じる。


小一時間過ごしたあと、昼からは「ブックスひろしま2010トークイベント」だ。

昼飯はいつ食べるのだ?という不安を抱えながらの強行軍である。

 

強行軍ではあるものの、どれも楽しみなイベントである。

 

楽しみだから、「予習」をするのである。


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 『見延典子 作家入門講座』
 〜「もう頬杖はつかない」「頼山陽」の著者が語る作法〜
 
  11月7日(日) 13:00〜14:30 (開場12:30)
  会場 まちづくり市民交流プラザ 北棟5階研修室C
       広島市中区袋町6番36号
  参加費用 1000円
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↓↓予習中の見延作品二点ね。

【画像:462918.jpg】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日読んだエッセー集「頼山陽にピアス」のなかに

 

私のブログと同じネタがあった。

 

ふむふむ、わしのブログと見延エッセー、どっちが面白いかのう?

 

などと、たわけた妄想に浸ったのであった。

 

タイトルは「武士の家計簿」である。


いつか両方並べてアップしてみようかしらん。。。

 

 


妄想ふくらむShiozyはさておいて、

 

佳境を迎えつつある桐矢作品である。

 

桐矢連載18話なのだ。

 


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「口のない友達」18  ゆずれない想い   桐矢 絹子

 


「突然すいませんでした」

 

「ほんとに。かなりびっくりしたわよ。

 

まさかあなたが辻本さんだったなんてね」

 

そのまま立ち話で済ませるわけにもいかず、チカはマリを部屋へ入れた。

 

マリは大学1年生になっていた。

 

高校卒業と同時に髪を明るい色に染め、

 

服装も前よりずっと大人っぽいものになっていたため、

 

ぱっと見ただけではチカには判別ができなかった。

 

自分の焼いたカップに紅茶を注ぎ、マリの前に置いた。

 

「お姉さんは、陶芸まだ続けているんですか?」

 

「いいえ。1年前にやめちゃったの」

 

河辺さんと付き合いだして、無理して何かに集中しなくてもよくなったから、

 

とチカは頭のなかで続けた。

 


「つまり、この口は、あなたのおばあさまのものなのね」

 

「そうです」

 

「そのおばあさまが老衰で弱ってしまって危険な状態。

 

口があれば、回復するのではないかと」

 

「はい」

 

チカは、しずかにふーっと深いため息をついた。

 

返して欲しいなら、返して欲しいとこの口は自分でいうだろう。

 

だけど、なにも言わない。

 

ここ1年、口はまったく意思表示をしなかった。

 

きっとおばあさんは、口を返して欲しいとは思っていないのだ。

 

だけど、はたしてどうやったらそれを的確に彼女に伝えることができるだろう。

 

起こったことをありのままに説明したって、

 

そんなこと信じてもらえないに決まっている。

 

それに、もうひとつ気がかりなことがあった。

 

チカは、こんな大きな問題を突然ぶつけてきたマリに、

 

すこし意地悪をしてやりたいような気分になった。

 


「あなた、彼氏はいる?」

 

不意打ちのような質問に、マリはきょとん、としながらも

 

「あ、はい一応」と答えた。

 

「いつから?」

 

「大学に入って、ちょっと経ってからです。」

 

「それが初めて付き合う人?」

 

「いえ・・・。初めて付き合ったのは、中3のときです。

 

でも、高校が離れて自然消滅しました」

 

「そう・・・」

 

チカは、マリに対して軽い嫉妬のようなものを感じていた。

 

自分にとって諦めるしかなかったことを、

 

ごく当たり前のことのように言った彼女に腹が立った。

 

きっとこの子には友達もたくさんいるのだろう。

 

その上、自ら望んで口を手放したおばあさんまで助けたいから口を返せだなんて、

 

なんて自分勝手で欲張りなんだろう。

 


「わたしもね、付き合っている人がいるの」

 

「あ、そうなんですね」

 

マリはにこっと微笑んだ。

 

「彼のご両親にあって欲しいと言われているのだけれど・・・・

 

あなたに口を持っていかれてしまったら、きっと破談ね」

 

マリが息を止めたのがわかった。

 

あなたの願いは、わたしを不幸にするものなのよ、

 

とチカに言われていることにようやく気がついたのだ。

 

黙ったままうつむいてしまった。

 


長い沈黙が続いた。

 

「・・・・・・・すみませんでした・・・・」

 

ようやく聞きとれるくらいのちいさな声で、うつむいたままマリはつぶやいた。

 

「勝手なこといって、すみませんでした」

 

帰ります、といって下をむいたまま立ち上がり、

 

鞄をわしづかみして部屋を出て行こうとしたマリを、

 

このまま帰してもよいのだろうかと考えたチカは、

 

ちょっと待って、と呼び止めていた。

 

「・・・・・・おばあさんに会わせてもらえる?」   <続く>

 


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コメント
チカさんとマリさんの会話はドキドキしますね。先が楽しみです。
ぐわぁ〜〜桐矢さん、やってくれますね!

緊迫した空気の中で
 返して欲しいなら、返して欲しいとこの口は自分でいうだろう
  私ははこのことばに少しだけ救われる気がしました

 さぁ〜これからどなるのでしょう?
  • のりたま
  • 2010/11/04 3:00 PM
桐矢さん、昼メロ(こんな単語を今でも使っている人間は日本にはいないでしょうが,私は米国在住です)作家になれると思います。

Shiozy様,

ご無沙汰しておりました。1ヶ月前に息子に会いに行って以来,忙しく書き込みをしていませんでした。読んではいたのですが、文法の話など、口出しできませんし,,,
  • クロス
  • 2010/11/04 8:55 PM
写真、失礼いたしました。7日のスケジュールを見ますとミヤカグさんには10時オープンと同時ぐらいに行かれると推察しました。私もその時刻には到着いたしますので、どこかで写真撮りましょう。
気を使わないでくださいね。気は配るものです。若僧が失礼しました。
ミヤカグさんでの再会ありがとうございます。shiozyさんが居ないとあのテントの奥へは入っていなかったと思います。shiozyさんの人脈に感謝です。
柿辰丸さん。のりたまさん。クロスさん。
レスがたいへん遅くなりました。遅くなった言い訳は本日のブログにて。
  • shiozy
  • 2010/11/08 10:01 AM
柿辰丸様、のりたま様、クロス様

感想ありがとうございます!
この回のやりとり、わたしも好きです。
書きながら楽しかったです。

  • 弟子3@桐矢
  • 2010/11/12 1:34 AM
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