<右手、左手>

  • 2008.12.12 Friday
  • 17:00

向田邦子のエッセーに、「ポスト」という表題の小編がある。

        (霊長類ヒト科動物図鑑 所収 文春文庫)

冒頭の文章はこうである。


「郵便を出すのでおもてに出た。

右手に血刀、左手に手綱ではないが、右手に鍵束、左手に葉書である。」


この二行、むつかしい漢字は使われていない。

小学生でも読める漢字ばかりであろう。

血刀(ちがたな)や手綱(たづな)は、

現代っ子には実感の伴わない言葉かもしれないが、

しかしまあ読めない字ではないだろう。


小学生でも読める文章であるのに、

Shiozyが読めない漢字がふたつもあるのだ。

な、なさけない。。。


Shiozyが読めないだろうとの配慮からか、

向田邦子はわざわざルビを振ってくれている。

さて、ルビを振らないと読めない漢字はどれでしょう?




右手、左手、である。

みぎて、ひだりて、くらい誰でも読める。

では、向田邦子はどういうルビを振ったのか?

古文に強い人には、ゆるい問題かもしれない。

そう、古語である。


問:右手(みぎて)、左手(ひだりて)の古語読みを答えよ。(配点10点)



ヒント

右手・左手は、馬手・弓手と同義である。

馬手・弓手はどう読む?


答えは来年元旦のブログで発表。






こう書くと、気になって眠られなくなる人がいるだろうから、

小さく書いておこう。  (右手=めて、左手=ゆんで)


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<向田遊び@おの字>

  • 2008.08.06 Wednesday
  • 06:29

向田邦子の『夜中の薔薇』(講談社文庫)というエッセー集の中に、

「おの字」というタイトルの二十行に満たない一文がある。


女流作家として認められるようになって、困ったことがあるという。

「酒を飲む」と書けない。

「尻をまくる」と書きづらい。 という。

気が弱く「お酒」 「お尻」とおの字をつけてしまう。 という。


「昨晩、お酒をしこたま飲んで二日酔いでさあ」

こんな文章をShiozyが書いたら、その酒はチョー甘口で、

いくら飲んでも酔えなかったからついつい深酒をしてしまったぞ。

というニュアンスになってしまう。


「お尻」にいたっては、「おしり」「しり」などという上品な表現は使ったことがない。

「わしのケツには巨大おできが発生中だあ」などと書いてしまうわしは、

男に生まれてほんとに良かったと思うのである。


いやまてよ、一度「おの字」をつけて書いてみようか。

Shiozyの文章ってお上品ね。と賞賛されるかもしれない。


「おかまのShiozy」と言われるのがオチか。


本日は「ハチロク」につき、<黙祷>
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<向田遊び2@キャン>

  • 2008.07.02 Wednesday
  • 06:30

一人っ子を悔やむのは、こういう時である。

私が30代の頃の話である。娘は小学3年生だったろうか。

その日、私は会社を休んで家に居た。

学校が終わって帰宅した娘は、玄関の鍵を開けずに、裏庭に回った。

庭で飼ってる犬とじゃれていた。

私はそのじゃれあいを二階の窓から微笑ましく眺めていた。

娘は私が見ていることを知らない。


犬と娘はキョウダイのようにじゃれあっている。

じゃれあいがだんだんエスカレートして、ケンカ風になってくる。

娘が強く犬をたたいた。

すると犬はいきなり娘に噛み付いた。

犬にしてみれば、アマ噛みの部類なのだろうが、

しかし、娘にとったら驚きの反撃だった。


娘は噛まれて泣きもせず、庭の水道を開き、犬に水を掛け出したのだった。

この犬は、水が大嫌いだった。

「キャン」とひと声鳴き、尻尾を巻いて犬小屋に逃げ込んだ。

それでも娘は容赦をせず、犬小屋が洪水になるほど水攻撃を続けたのだった。


「ああ、学校でいやな事があったのだろうな。

まさか、イジメでは?

こんな時、キョウダイでもいれば泣きつくことができるだろうに」

一人っ子の悲哀を想った私は、その日一日、娘が寝るまで、

部屋の中に隠れていたのだった。


娘が犬に当り散らしているとき、出て行って慰めることもできたのだが、

それは逆に、娘の自尊心を傷つけるように思ったのだった。

一人っ子の、気持ちの持って行きようのなさに、心が痛むのだ。



<解説>

向田邦子のエッセーに、「あ」というタイトルの作品がある。

バスの中でお金を忘れた少年のエピソードと、

犬を散歩させる少年との出会いの話であるが、

前者のはにかみと後者の捨て台詞、その両方の少年の姿を見て、

向田邦子は最後をこう締めくくる。

「子供を持たなかったことを悔やむのは、こういう時である。」と。


今回はこの締めのフレーズをいただいて、書いてみた。

和歌の「連歌取り」みたいなお遊び。

タイトルも「あ」に対抗して「キャン」としてみた。



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<向田遊び:九九の段>

  • 2008.06.20 Friday
  • 11:28

いい年をして、いまだに宿題の夢を見る。

あれは小学校2年生くらいの宿題だったろうか。

宿題は、算数の「九九の段」である。

「明日は五の段まで覚えてくるように」という宿題が出る。

食事中だろうと、歩きながらだろうと、夢中で九九を唱えていた。

あるときなど、トイレにしゃがんで、言えるまでトイレから出ないと決めて、

一所懸命唱えたが、「七の段」くらいまでいくと決まってつかえてしまうのだ。

トイレから出てこないのを心配して、母親が覗きに来た。

その当時のトイレは、もちろん汲み取り式。

落ちたら助からないだろうというほどの、深い奈落の底みたいな空間だった。

「トイレの中から、九九の段が聞こえてきて、どんなに安心したことか。

だから私は、周司の九九が大好き」

何年か経って、母が私に語った言葉である。

母にとっては、安心できた記憶でも、私にとったら恐怖の九九だったのだ。

汲み取り式トイレの独特な臭気と恐怖の九九の段。

苦しめられた記憶は、臭い付きだ。


そして今、還暦を迎えようとして、計算力が極端に衰えてきた。

「13×7」というような簡単な計算が、とっさに暗算できなくなった。

頭の中で、「さんしちにじゅういち。しちいちがしち」と唱えてはじめて計算できる始末だ。

子供の頃、「七の段」でつまずいた後遺症であろうか、

還暦を迎えようとして、「七の段」で苦しめられるとは思いもしなかった。

「七」は、私の鬼門である。

おまけに「加齢臭」という、こちらも臭い付きだ。


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さて、この拙文にどういうタイトルを付けようか?

向田邦子から引用した冒頭の一文のタイトルは、

「父の風船」というものである。

拙文を読み返してみると、「七の段」がふさわしいように思える。

あるいは「記憶の臭い」か。

しかし、オチをタイトルにしてしまうのは風情がない。

ということで、少し幅をとって、「九九の段」としてみた。


   冒頭の一文の出典:「眠る盃」(講談社文庫)


<向田遊び>って何だ? と思われた方は、

こことか ここを 読んでみてください。


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<向田邦子遊びトレーニング>

  • 2008.06.19 Thursday
  • 11:46

向田邦子の作品に、たった5行のエッセーがある。

出だしの3行はこうだ。

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偏食・好色・内弁慶・小心・テレ屋・甘ったれ・新しもの好き・

体裁屋・嘘つき・凝り性・怠け者・女房自慢・癇癪持ち・自信過剰・

健忘症・医者嫌い・風呂嫌い・尊大・気まぐれ・オッチョコチョイ・・・。

-----------------------------

おう、まるでわしのことではないか。

ここまで見抜かれるとは、恐るべし向田邦子、だ。

そのあとの2行にこう書いている。

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きりがないからやめますが、貴男はまことに男の中の男であります。

私はそこに惚れているのです。

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向田邦子は、わしみたいなタイプが好みなのか。

テレるぜよ、向田邦子。

生きているうちに逢いたかったぞ、向田邦子。

たった五行のエッセーに、メロメロなShiozyである。


このエッセーのタイトルは、「マハシャイ・マミオ殿」とある。

飼い猫の話である。。。


   「眠る盃」(講談社文庫所収)



一昨日のブログ「向田邦子遊び」のコメントに、

やれ書け、それ書け、早く書けという脅迫があったので、

ちょっとトレーニングがてら、向田邦子で遊んでみた。


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<向田邦子お遊び>

  • 2008.06.17 Tuesday
  • 13:04

エッセーの名手といえば、向田邦子だろう。

これに異存がある方は、石を投げてくれい。


ふ、誰も石を投げてこないところをみると、

万人の認めるところだと思うことにしよう。


向田邦子は、エッセーよりシナリオのほうがベストだぜぃ。

そういうご意見の方も居られようが、私はエッセーが好きだ。

処女作「父の詫び状」から、

「夜中の薔薇」、「眠る盃」と続くエッセー集は、

何度読み返しても飽きることがない。

重松清と向田邦子は、繰り返しくりかえし読んでいる。

ほとんどの本はカバーもなくなり、ボロボロ状態だ。

【画像:155079.jpg】










向田邦子エッセーのどこがいい? と訊かれたら、

即座にこう答える。

タイトルと冒頭の一行 と。

内容がいいのはもちろんだが、タイトルと冒頭の一行には唸らされる。

たとえば、こんな具合だ。


「おの字」 親のない人が、羨ましい。

「四角い匂い」 部屋を出てエレベーターに乗ると、菊の花の匂いがした。

「革の服」 革を着るときは気負いが要る。

           以上、『夜中の薔薇』所収


「父の風船」 いい年をして、いまだに宿題の夢を見る。

「あ」 バスは混んでいた。

「味醂干し」 味醂干しと書くと泣きたくなる。

「字のない葉書」 死んだ父は筆まめな人であった。

           以上、『眠る盃』所収


「おの字」や「四角い匂い」、「あ」、「字のない葉書」などは、

タイトルに引き付けられる。

「革の服」や「父の風船」、「味醂干し」などは、

タイトルこそ平凡だが、そのあとの冒頭の一行に驚かされる。

つまり、タイトルと冒頭の一行の緊張関係が抜群なのだ。

うまいなあ、と思う。


いま密かに思っていることがある。

向田作品のタイトルあるいは冒頭の一行を借用して、

別のエッセーが書けないか。と。


たとえば、

「いい年をして、いまだに宿題の夢を見る。」という一文を冒頭に振って、

Shiozyオリジナルなエッセーを書き、

それに別のタイトルを付けてみる、というようなお遊びだ。

いつか挑戦してみたい課題である。


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次のコラボは明日水曜日。お題は「○○歳だったら」です。

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